運動指導者の働き方改革を推進する、池田扶実子です。
今回は「後期高齢者(以下、高齢者)におけるW-UPについて書いてみようと思います。
- 内科的・整形外科的事故を予防
- その日の体調を知る
- まとめ
W-Upは、どの年齢であっても上記のような目的で行われています。
高齢者の場合はどうでしょうか?上記のリストの順に考えていきます。
内科的・整形外科的事故を予防する
身体は、安静状態からすぐに運動状態に適応することが出来ません。
身体を徐々に動かし、筋温・体温を上げることで、呼吸・循環系のイベント(心臓の虚血・不整脈の誘発など)の予防を行います。特に、慢性疾患のある人では、適切なW-Upが必要です。
「慢性疾患のある人」は高齢者に多いですね。
高齢者の場合は、動き始めると心拍数よりも先に、血圧が上昇します。それは、血管の老化……若い人に比べて、血管の柔軟性が失われているからです。動脈硬化や原因は様々ですが、高齢者の場合の循環器の応答は、心拍数では測れないと言えるでしょう。
ですから、徐々に強度を上げ、循環器に急激な負担がかからないように、血圧が急上昇することがないように、一般成人よりも時間をかけて上げていく必要があります。
次に、整形外科的事故の予防です。
W-Upを行うことで、関節の可動域や機能、骨格筋の動きをよくすることで、運動器の障害を予防する可能性があると、教材には書かれています。
ではどのように?
高齢者の場合は、整形外科的にリスクを抱えている人が多いです。先ずは小さな動きから始め、徐々に動きを大きくし、筋温を上げましょう。
筋肉の温度が上がると、関節の弾力性も高まり、神経機能も亢進します。これにより動きは、スムースになり動きの協応性も高まります。
高齢者の場合は、いきなり大きく動き出すと障害を起こす可能性があります。痛みや違和感を覚える動きはできるだけ避けるように、フォローやアドバイスすることが望ましいですね。
その日の体調を知る
安全に進めて行くには、W-Up時の観察がとても大切です。
その日のお客様の状態を知ることで、その後にある主運動のプログラム構成も変える……時には、実施の可否を考慮することも必要です。
例えば、膝の悪そうな方が多い場合は、できるだけ膝を捻るような動き……膝頭が右左に動いてしまうような動きは避けた方が良いですね。
また、観察して”おかしいな”と思うお客様がいた場合は、「今日はお休みされた方が良いです」と言える勇気も必要ですよね。
せっかく来てくれたから……「適当に動いて、無理しないで下さい」これは優しいように思えますが、本当に安全を確保できるのか?この判断が難しいです。
私は迷ったときには、「今日はいつもよりお疲れのように見えましたが?大丈夫ですか?」と、近くに行ってマイクを外して、個別に聞くことにしています。
返事が曖昧な感じであった場合は、「今日はお休みして、体調を整えませんか?」と伝えます。
でも、でも、でもです!
たいていの場合は、「大丈夫です」と返ってきます。高齢者の方は、周りの目をものすごく気にされます。しんどくても我慢する。
なので気にしなくていいように、普段からレッスンの中でそのような話をします。それも簡単な話では無く、身体の仕組みを教えて、理解してもらいます。
こまめに少しずつ情報を提供し、共有することを続けることが大切です。
やっていい我慢と、やってはいけない我慢……これを理解してもらえれば、体調が悪いときの参加や中止を行いやすく出来ます。
もう一つ大事なこと……お客様がその日の自分の体調を知ることです。
私達はお客様の体調を見る・聞くだけしか方法がありません。お客様の身体の不調は、お客様だけが分かるものです。
少しでも普段参加しているときと感覚が違うと感じたときは、伝えてもらえる環境作りが重要ですね。
まとめ
主運動のまえの「準備運動」と言えば簡単そうに聞こえますが、W-Upは安全確保の上では重要なパートです。
私達指導者は、これから先もっと多くの高齢者の方々を始動することになるでしょう。そのためにも、知識と情報……そして分かり易く伝える能力が必要です。
それらによって、高齢の方々のあなたに対する「信頼度」がアップすることは間違いないです。
あとがき
先日募集した「無料セミナー」は即日満員でした。
高齢者の情報をもっと発信する必要があると感じました。まだまだ「無料セミナー」やる予定ですので、宜しくお願いします。
今日は自宅近くの神社で「夏の祭礼」……近くで太鼓や拍子の音が聞こえます。2年間中止していた夏祭りが戻ってきました。
生前の父がいつもウキウキして、「ちらし寿司でも作らんのか?」と聞いてくる光景を思い出しました。
時間は止まりません。
私もあなたも……時間の流れの中にいて、公平に時間が流れます。その中で何をやるのか、考えるのか?
共に在り、共によろこび、共に実現する
if planningの理念……一緒に頑張りましょう(^_^)