快適に動ける体づくりのお手伝いをする、平田智子です。
「運動は体に良い」と言われていますが、運動後は免疫力が一時的に下がるという話を聞いたことはありませんか?
これは一部の条件で本当に起こる現象で、「オープンウィンドウ理論」と呼ばれています。
高強度・長時間の運動をすると、運動後数時間〜数日間、免疫力が一時的に低下する期間が生じます。この「免疫が下がった時間帯」を 窓(window)が開いた状態に例えて、「病原体が侵入しやすくなる=オープンウィンドウ」と呼びます。
今回は、そのことについて2回に分けてお伝えします。
どんな運動で免疫力が下がるのか
運動の影響は大きく分けて次のようになります。
「①運動の種類」「②強度・時間の目安」「③免疫への影響」
軽〜中強度
①ウォーキング、軽いジョギング、ヨガなど
②30〜60分
③むしろ免疫機能が維持またはやや向上
中〜高強度
①ランニング、HIIT、筋トレーニング中〜高負荷
②60〜90分程度
③一時的に軽度低下(感染リスクはほぼ問題なし)
高強度かつ長時間
①マラソン、強化合宿、長時間の試合など
②90分〜数時間以上
③免疫が明確に低下(感染リスクが高まる)
なぜ免疫力が下がるの?
運動は体に「良いストレス」を与えますが、その過程で一時的に免疫細胞の働きが弱まります。主な理由は次の4つです。
ストレスホルモンの上昇
運動中はコルチゾールやアドレナリンが増え、免疫細胞の一部が減少します。
炎症反応の一時的抑制
筋肉修復を優先するため、外敵対応が遅くなります。
栄養の優先配分
筋肉や脳へのエネルギー優先で、免疫への供給が減ります。
体温・酸化ストレスの上昇
細胞機能の一部が一時的に低下します。
呼吸量増加による病原体の取り込み増加
激しい運動では呼吸が深く速くなり、ウイルスや細菌が入りやすくなる。
激しい運動後は、やはりそれだけ体は疲れるということです。では次回は、このオープンウィンドウをどのような方が影響を受けやすいか、また、その回復のコツをお伝えします。