運動指導者の働き方改革を推進する、池田扶実子です。
今回は、有酸素運動後のクールダウンについて……この時期は特に注意が必要です。
復習をかねて、何故注意が必要なのかを確認しましょう。
クールダウンの実施目的は下記の通りです。
- ●運動後の呼吸・循環器系の事故を予防する
- ●乳酸・疲労物質を除去し、疲労回復を促進する
言葉だけ見ると、「そーだよね」って思いますよね。でも実際、運動中の死亡事故の70%強は、クールダウンで起きているんです。呼吸・循環器の仕組みをしり、事故を防いでいきましょう。
主運動後の呼吸・循環器系の事故予防
高強度の運動や身体活動を急に停止すると……活動している筋肉から心臓に血液が戻りにくくなります。
これによって、血圧の低下・心臓の虚血・不整脈の誘発・めまいや失神を起こすことがあります。
これは静脈環流が促進されずに起こります。静脈には血圧がなく、筋肉が動くことで静脈を圧迫し、血液が心臓に戻ります。ですが、身体の動きを止める、もしくは極端に動く大きさを小さくする(強度を極端に下げる)と、静脈を圧迫すべき筋肉が動かないので、血液を心臓に戻す力が極端に下がります。
そうなると十分な量の血液が心臓へ戻ってこないために、心拍出量が減少し血圧が急激に低下します。その結果、脳への血流が不足してめまいや立ちくらみ・吐き気や失神などの”脳貧血様症状”を招く恐れもあります。
ですから息が上がるような主運動の後は、徐々に強度を下げ、血液循環を促進することが最も重要です。
同時に、運動によって上がった体温を安静時に戻すこともクールダウンの重要な役割です。
運動によって高くなった体温は、循環する血液が皮下の血管を通ることで冷やされる。もしくは汗を出して身体を濡らし、体温を下げようとします。ですが、血液循環がうまく回らないと、体温もなかなか落ちにくい状況になります。体温が下がらないと、身体はもっと血液を皮下の血管まで送って体温を下げようとします。
と言うことは、心拍数がなかなか下がらないという状態も起こりえるわけです。
あなたも経験がありませんか?クールダウンに入った途端に、どっと汗が噴き出るという経験……これは、運動時から安静時へと中枢神経のセットポイントが変化し、安静時へと向かっている状態です。
グループエクササイズの場合は、一斉に参加したお客様が体温を下げていくわけですから、室内の温度は上がります。
この時期は、熱中症を意識しながら指導されているはずです。室内の温度も、クールダウン時にはさらに下げた方が、無駄な汗をかかず水分の消失を抑えることが出来ます。
次に“呼吸”です。
高強度の運動直後の深い呼吸の反復は、過呼吸(過換気症候群)を誘発します。過換気が起きると、血圧低下や筋痙攣を引き起こします。
「ここからクールダウンだよ」の合図のように、強度を急激に落として、深呼吸をされる方をお見かけしますが……これはNGです。
息がまだ上がっているようなら、強度を徐々に下げ、呼吸の状態を観察しながら強度を落としていくことをオススメします。
ここまで、クールダウンにおける呼吸・循環器系の仕組みと注意を解説してきました。
これを高齢者に置き換えたら……
次回はそんなお話しをお伝えしたいと思ってます。
あとがき
コロナ禍によって、レッスンの時間が短くなっていませんか?そうなるとついつい主運動に時間を割きたくなる……指導者としては、運動してもらいたいという気持ち……私も同じです。
ですが、そこで注意しないと事故につながりやすいので書いてみました。
今日は父の初盆の法要でした。
時間が経つのは早いものです。
明日もきっといいことがありますように……(^^)/