トイレの後、血圧はどう変わっている?循環器視点で見る「ふらつき」の正体〜
快適に動ける体づくりのお手伝いをする、平田智子です。
これまで、自律神経のお話をしてきました。今回は、もう一歩だけ踏み込んで血圧と心臓の働きから見ていきます。できるだけシンプルにお伝えします。
そもそも血圧の役割って?
血圧は、心臓が送り出した血液を、全身に届けるための圧力です。特に大切なのは、脳へしっかり血液を送ること。
脳は血流が数秒でも減ると、「クラッ」としたり目の前が暗くなったりします。つまり、ふらつきは脳への血流が一時的に減ったサインなのです。
排便・排尿中、体の中では何が起きている?
トイレでいきむとき、私たちは無意識にお腹へ強い圧(腹圧)をかけています。このとき体の中では、
①胸やお腹の圧が高まる
②心臓へ戻る血液が一時的に減る
③血圧が変動する
という変化が起きています。そして、いきみが終わった瞬間、今度は反動で血圧がスッと下がることがあるのです。
これがトイレ後の「ふらつき」の大きな原因のひとつです。
なぜ“終わったあと”に起こるの?
排便・排尿中は、体がある程度緊張しています。
しかし終わると、
・腹圧が抜ける
・副交感神経が優位になる
・血管が広がる
すると一時的に血圧が下がりやすい状態になります。そこへさらに、立ち上がる、寒いトイレから移動する、という動きが加わると、重力の影響で血液が下半身へ下がり、脳への血流が一瞬足りなくなることがあります。
年齢との関係は?
年齢を重ねると、
・血管の弾力が低下する
・血圧を自動調整する力が弱くなる
といわれています。しかし、これは高齢者だけの話ではありません。更年期以降は、自律神経が不安定になりやすい、血管のしなやかさが変わる、といった変化が起こります。そのため、60代前後でも条件が重なれば起こり得るのです。
異常ではないことも多い、こうした現象は、「排便後失神」「排尿後失神」と呼ばれているそうです。
多くの場合、心臓や脳に重大な異常があるわけではなく、血圧調整の一時的な乱れです。だからこそ、いきみすぎない、立つ前にひと呼吸、冬場は足元を冷やさない
といった小さな工夫が大切になります。
体は、がんばって調整している
トイレのあとのふらつきは、体が一生懸命バランスを取ろうとしているのです。知っていれば、慌てずに対処でき、予防にもつながります。つづく
