運動指導者のこれからを応援する、池田扶実子です。
今日は、高齢者の「バランス機能」について書いてみようと思います。
高齢者における機能低下の中で最も失われやすい機能が「バランス機能」です。バランス機能とは、支持基底面(身体を支える面)に対して、重心をコントロールする機能のことです。
バランス機能には、①静的バランス、②動的バランスがあります。
静的バランス……止まっているときのバランス機能よりも、動いている時のバランス機能(動的バランス機能)が低下していることで、転倒などが起こりやすくなります。転倒したときに骨折となると、高齢者にとっては命に関わることになります。
「骨折」→「寝たきり」→「パンパース」という標語は、30年くらい前に、京都大学の森谷先生が作られ、今でもよく思い出します。
バランス機能改善のために様々な研究や、結果が出されています。レジスタンス運動、有酸素運動、ファンクショナルな運動……
どれをとっても、バランス機能が上がった結果が出されています。これらを要約すると、総じて運動は高齢者のバランス機能を上げる(改善する)可能性があると言うことです。
では、実際にバランス機能が落ちている人はどんな方でしょうか?
例えば、「つま先立ちで立って下さい!」と言うと、出来る人は何人いるでしょうか?またその足幅は広ければ、もっと”つま先立ち”できない人が多くないでしょうか?目をつぶると、さらに出来ない人は多いです。
つま先立ちが、一瞬出来てもすぐに踵が付いたり、できてはいるが、グラグラしている……重心のコントロールが出来ていないからです。
本来であれば、支持基底面が広い(足幅が広い)ほうが安定するはずなのに、広いと余計に出来ない……これは、足幅の中心に重心を乗せることが出来ない認知機能(感覚)が鈍っているからです。
このような人は、バランス機能が弱くなっていると言えるのではないでしょうか?
また、足を開くには関節可動域が必要です。股関節の動きが狭くなっている人は?多いですよね。さらに下肢筋力の低下によって、身体を支える機能も弱くなっています。
このように書いてくると、バランス機能の改善に何が良いのだろう?と思ってきます。
身体を支える力、関節可動域、神経の協応性……
先に書いたように、さまざま運動でバランス機能は改善する可能性がある。それなら軽度の運動であっても、それらは神経を刺激し、協応性を改善します。さらに継続して行うことで、「出来る」という自信を持って頂くことがとても重要です。
自信が持てるようになれば、筋力アップや柔軟性……ドンドンと欲を出して運動できるように導くことが一番のようです。
私はいつも高齢者の方々に、「気づき」を与えたくて行っている方法があります。
私は、高齢者の方々にバランス能力の大切さを伝えるために考えたものです。これは近いうちにWork Shopとしてセミナーにする予定です。
是非、一緒に動いて確かめてみませんか?
あとがき
話は変わりますが……
「ビタミンD」を補給すると、バランス機能が改善するという報告を出している研究結果が複数あります。
ビタミンDは、骨を強化する働きが知られています。転倒による骨折の発生を低下させるのはもちろんですが、そればかりか転倒率そのものを減少させる可能性があるという報告があるそうです。
ビタミンDはバランス能力に関係する中枢神経系の働きを高めるようです。血液中のビタミンDの濃度と筋力の間に関連性があるという報告もあります。
と言うことで、食事・睡眠・適度な運動……三種の神器です。
さぁ、明日もがんばりましょう。