運動指導者のこれからを応援する、池田扶実子です。
今回は「高齢者指導の際に、留意したいこと、注意したいことを書いてみます。なぜ、今回この題材を選んだのかと言うと、私のお客様である数名のお客様から、「こんなことがあった」と、報告を受けたからです。
結果として病院に通院する羽目になった事例を紹介することで、改めて気をつけるべき点を再確認して頂けたら、幸いです。
現在の指導環境では「高齢者」は一番のボリュームゾーンですね。高齢者を指導しない方はいないと言っても過言ではありませんよね。
私を含めて、指導者のほとんどは「高齢者」に対しては、優しく、丁寧に指導されていると思います。
グループ指導やパーソナル指導の現場で、参加されるお客様が一定になる……同じ方々が参加している(多少の入れ替えはあるが……)のではないでしょうか?
同じクラス、同じ方を指導していれば、「これぐらいは大丈夫だろう」と思ってしまいがちですよね。そこに落とし穴があります。
今回の相談の一例です。
お客様は女性、80歳前後で活動的な方です。相談内容は、あるレッスンを受けた際に腰から下半身に「ビリッと電気が走って、その後はずっと腰痛と脚のしびれを感じている」と言うことでした。
その動きとは、仰向けになり両足を上に持ち上げたときに起こったということでした。
私は、お話を伺って「なるほどな…」と思ってしまいました。その現場を見ていないので、あくまでも私の想像ですが、仰向けで寝ている状態から、両足を同時に持ち上げた瞬間に、腰に大きく負担がかかって起こったことだと考えました。
仰向けの状態で、脚を伸ばした状態だと腰は反った状態(骨盤の前傾)になります。但し、背中が丸くなっている方や椎間狭窄症の方は、脚を伸ばす行為自体で痛みを感じる方もいますが、今回はそのような症例がないと言う過程でお話しします。
またこのようなトラブルは、若い方や壮年期の方でも起こることがあります。
仰向け寝で腰が反っている状態から、一気に両足を持ち上げたときは、腰椎が反った状態(骨盤前傾)から急に骨盤後傾の状態になると言うことです。
健康で筋力のある方でも、腹背筋が緊張している方なら「ギクッと」来ることもありますので、スピードに気をつけて下さい。
高齢者の場合は、日頃の所作から「骨の変形」「筋力不足」などのリスクが考えられます。ゆっくりと行ってもこのような事態が起こることがあるので気をつけたいですね。
では、何故このようなことが起こるのかを解説します。
仰向け寝で膝を三角に曲げている状態から、膝を持ち上げるようにして脚を持ち上げたとき、腰にかかる負担を考えてみて下さい。脚が床から浮いて時点で、脚の重さはどこで支えているのか?と言うことです。
膝が股関節の上に来たときには、支点と作用点が同一線上にありますので、負担は大きくありませんが、床から膝を持ち上げ、股関節の上まで来る間……脚の重さは腰にかかってきます。
脚を三角に折り曲げている時の膝の位置が股関節に近く、股関節を深く屈曲している時は、脚を挙げるときの距離が短くなるので、危険は減らすことが出来ます。
ですが、お客様は楽な姿勢を取っていますので、股関節と膝までの距離は少しあると思いませんか?
この場合、ゆっくり行えば大丈夫?と思っていないでしょうか?
確かにサッと持ち上げる(スピード)のは、NGです。しかしゆっくり行っても、かかる負担は変わらないので高齢者対象であれば、股関節の屈曲角度を狭くして、動かす距離を短くし、且つ片脚ずつ行うほうが安全ですね。
このように、健康な壮年期の方々なら当たり前のように出来ることが、高齢者になるとそれが危険になることが多いです。
私のお客様で、歯科医院で治療が終わり椅子が電動で上がるのを待ちきれずに、自力で起き上がろうとしたときに骨盤骨折した方がいます。
普段からお元気で、ご自身でも体力に自信を持っていました。ご本人曰く、「まさか私が……」と、今でも悔やまれています。骨盤は骨への刺激が少なく、年齢を重ねれば重ねるほど「骨粗鬆症」になりやすい部位でもあります。またそれは本人でも分からない!……これが落とし穴です。
このようなことがあることを知った上で、様々な観点から留意すべき点見出すことが重要です。
このような内容をまた無料セミナーでお伝えいたします。セミナーの告知は明日、このサイトとメルマガ、そしてFacebookグループでお知らせいたします。
あとがき
やっと喪中も明けて……今から無心にコツコツとやりたいことを行おうと思っております。
3月末から4月頭に、親しい人々と伊勢参りを済ませ、心新たな今。この仕事を続ける最後の日まで、一生懸命に伝えるべきことを発信いたします。
メルマガも定期で配信予定です。NOTEのブログもまたひと味変えて、発信して参ります。
これからも宜しくお願いいたします。