運動指導者のこれからを一緒に歩みたい、池田扶実子です。
今回は、認知機能と運動の関係を書いてみようと思います。様々な教材から学んだことばかりです。是非、共有させて下さい。
前回の記事では「歩行運動」を取り上げました。加齢に伴う「歩行速度」の低下には、下肢筋力をはじめとする様々な身体機能の低下が影響していることは明らかです。
特に、高齢期においてはさまざまな症候が出てきます。それらは「老年症候群」と呼ばれています。
老年症候群と歩行速度の関係
高齢者の歩行速度を4つに分類。もっとも遅い毎秒約1m以下の歩行速度では、その約46%が複数の老年症候群を保持していた。
鈴木隆雄:高齢者の身体特性。保健の科学、51-3:148-153,2009.
このことから考えると、歩行速度を測ることの重要性がうかがえますね。
近年、脳の画像化技術が発達したことから、加齢に伴う脳の構造上の変化と、立位バランスや歩行失調との関係も明らかになってきました。加齢に伴い、大脳の深部に「白質病変」と呼ばれる虚血性の病変が発現します。この病変と認知機能の低下には強い関連性があるそうです。
74歳~88歳の健康な高齢者70名を対象に、平均で4年間の間隔をあけ、頭部MRI画像を2回記録し、歩行、立位バランスの能力を測定。毎年、転倒についての聞き取りを行った。
その結果、白質病変の量とバランス、歩行能力、転倒との間に関連性が認められ、白質病変の進行が認知機能の低下と共に、バランス・歩行能力の低下や転倒と関連することが明らかとなった。
Whitman,G.T., et al.: A prospective study of cerebral white matter abnormalities in older people with gait dysfunction. Neurol,57:990-994,2001
以上のようなことから、私達は「高齢者指導において」何をすべきか?
一般的に、有酸素運動は全身の循環系を刺激し、各組織の酸素供給能を維持・向上させる野に有効ですね。近年では、この有酸素運動が能の高次機能の改善や低下抑止に効果があることが明らかになってきました。
現在は、人間の高次能機能と有酸素運動との関連に関する研究が活発に行われています。
高齢者のフィットネストレーニング(有酸素運動)と認知能力に関する報告のメタ解析においては、身体運動が諸種認知機能に正の効果を有することが報告されています。
Colcombe , S., Kramer, A,F,: Fitness effects on the cognitive function of older adults: a meta-analytic study. Psychol Sci, 14:125-130, 2003
要するに、高齢者の認知機能を低下させないためには、「有酸素運動」が良いことです。私が何故「歩行運動」にこだわったのか……それは、日常生活が自身で行われている高齢者であれば、歩くことが出来るからです。
「歩く」という運動から徐々に様々な動きの変化を求めていくのも、良い方法かも知れません。最近は「エアロビクス」が大きく減らされています。エアロビクスと言う名前で無くても構わないので、有酸素運動がもっと増えることを期待しています。
高齢者だから「ゆるやかな運動」……あなたならどのような運動を想像しますか?「ヨガ(ヨーガ)」「ピラティス」……
下肢の筋力アップも重要です。なので筋トレも大切です。ここで、少し私の提案です。
運動は体に良いことは分かっています。ですが決められた時間内に全てのことは出来ません。酸素運動も筋トレも「何故、必要なのか?」を伝えることが、今は最も重要だと思っています。
私は近々、一般高齢者に向けて「歩行の重要性」セミナーと歩行運動でまとめた「認知症予防運動」を始めようと動いています。あなたも動いてみませんか?
このプログラムや知識については、後日に「セミナー」にて共有したいと思っています。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
あとがき
暑い……という言葉しか出てきませんねぇ……最近は(>_<)
間もなく「お盆」です。私は、お盆が来ると、「あっ、もう正月が来るなぁ…」と思ってしまいます(笑)。だって、あっと言う間ですもんね。
来月は「無料セミナー」「有料セミナー」目白押し……興味のある方は、ここ最近の情報にアンテナを……お願いします。
今日も明日も明後日も……元気と笑顔で乗り越えましょう(^^)/