運動指導者のあなたと一緒に歩みたい、池田扶実子です。
今回は、高齢者の持久力低下について考えていこうと思います。高齢者と言っても、その個人の生活習慣や病と症によって”個人差”が大きいです。今回は一般的(平均的)な高齢者を対象に話を進めていこうと思います。
高齢者の体力の背景
30歳以降、加齢に伴い体力は低下します。ですが、運動習慣や運動意欲や生活習慣により「個人差」があります。
私が調べたデータでは、活動的でない高齢者は70歳を迎える頃には、「要支援・要介護」が必要な状態になり、活動的な人・運動習慣がある人は85歳くらいで「要支援・要介護」が必要になるようです。
これだけを見ても、如何に普段からポジティブに活動・運動しているかが重要だと言えます。
また、高齢者になればなるほど、内科的・整形外科的疾患を持つ人が多くなり、これも体力の個人差を大きくする原因です。
さらに、聴覚・平衡機能・視力などの知覚機能も低下し、運動中に思わぬ事故になる危険性も高くなります。
持久力の低下と原因は?
持久力の指標となる最大酸素摂取量は、1分間あたりに身体が消費することの出来る最大酸素量のことで、1Kg体重あたりの値(ml/Kg/分)で表されます。
最大酸素摂取量は、男女ともに20歳前後においてピークとなり、男性で50ml/Kg/分、女性で40ml/Kg/分程度です。その後、10歳加齢するごとに5~10%ずつ低下し、65歳になると男性で約30ml/Kg/分、女性で約20ml/Kg/分となり、おおよそ20歳代の50%に低下します。
あくまでもこれは様々な同年齢の高齢者の平均であって、高齢者であっても若年者と同様の持久力を有する方もいれば、日常生活さえも困難になる高齢者もいます。
最大心拍数(220-年齢)を考えても、20歳では最大心拍が200であるのに対して、70歳だと150拍になり、これだけ見ても最大酸素摂取量の低下は明らかです。
この差は、生活習慣(運動習慣)と持病の有無があります。持病により、活動的に動けない、動くこと(運動)が苦手などの原因によって、身体を動かすことが少ない人ほど、低下が早いと言えます。
持久力と健康寿命、自立した生活
今回、なぜ「持久力」をテーマにしたのか?
それは、「歩く(動く)」ことが出来なければ、自立した生活を送ることが出来なくなるからです。高齢者にとっては、大きな筋肉を持つことは難しく、パワーは急速に落ちていきます。
動かし続ける力があれば、日常生活は無理なく過ごせるのではないでしょうか?家から駅まで歩く力。スーパーに行って買い物でき、荷物を持って家に帰る力があれば、自立した生活が送れると私は考えています。
健康のために運動を始めた高齢者の方々は、”あまり動かない”楽なクラスを選択しがちです。ヨガ(ヨーガ)やピラティスは、しっかり動けばかなり力(パワー)の必要なエクササイズですが、手を抜けば楽に出来る?と考える高齢者が多いです。マットが大好きですね。
これでは、機能の改善・維持が難しいです。何もしないよりはマシかもしれません。ですが、それでいいのでしょうか?
私たちが普段指導している高齢者は、運動施設に来られる方ですね。今までお話しした高齢者の中では、比較的”動ける人”ではないでしょうか?
最初に述べたように、活動的出ない人、活動的・運動習慣のある人の差……70歳で介護のお世話になるか?85歳まで楽しく自立した生活を送るのか?
動けるうちに「動く」が重要です。
私は60歳を超えて、体力の低下を感じています。出来たことが出来なくなることを感じています。ですが同級生の現状と比べると、出来ることは多いです。身体って、動かしていると低下はすれど、そのスピードは緩やかですが、動かないとどんどん出来ないことが増えていきます。
高齢者を対象にするときには、少しのプレッシャーを与えることが重要だと思います。身体は与えられた刺激に対して、あらがう力を得ようとします。これがトレーニングの結果です。
つまり、毎日30分歩くという運動を行うことで、1ヶ月後には30分歩くことがつらくなくなったり、楽に感じるようになるということです。
最後に
筋力の種類には、パワーと持久力があります。今回は「持久力」をテーマにしました。決して高齢者にとってパワーが必要ではないという話ではありません。
もちろん両方が必要なのですが、高齢者にとって筋力アップは非常に難しいのが現状です。極端な表現をすると、走る脚力は必要ないですが、歩く力は必要ですよね。
だからこそ、持久力を持つことが重要ではないかと考えます。また持久力を維持・改善することで、呼吸循環器の機能も維持出来るのではないでしょうか?
高齢者と一口に言っても個人差が大きいです。出来ることはどんどんうごいてもらって、いつまでも元気で過ごしていただきたいですね。
後書き
先日、恒例になっている「無料セミナー」で、足と下肢の筋肉の働きと、動きについて解説しました。
次回の無料セミナーでは、今回のテーマにした「持久力」を上げるためのレジスタンス運動を紹介したいと考えています。また次回の記事では、実際の例を挙げて、持久力アップにつながるエクササイズを紹介したいと思います。
春爛漫で、来週には25度を超えるような話もあります。もう夏?高齢者にとって季節の変わり目は注意点・留意点が多いので、またそのような話も記事にしていきますね。
では、明日もまた頑張りましょうね(^^)/