運動指導者の働き方改革を推進する、池田扶実子です。
今回は「後期高齢者について」色々な角度から書いてみようと思います。
私達運動指導者の指導対象として、「後期高齢者」は絶対的な存在です。一般的な高齢者……65歳~75歳はもはや高齢者と呼ぶのにふさわしくない気もします。
もちろんそうで無い方々もいます。ですが、どうでしょうか?私達が考える高齢者とは、もはや「後期高齢者」ではないでしょうか?
私の経験では、75歳くらいを過ぎると、今までの生活習慣の積み重ねが一気に身体に表れてくる気がしています。
今日の内容は「レジスタンス運動の選択と順序」です。
後期高齢者(以降、高齢者と記載)の姿勢は、単純に考えることができません。筋肉の弱化と姿勢不良、そして関節の変形……様々なことが絡み合います。
では実際にどんな運動が必要なのか?
答えは、「全て」です。
全ての機能低下が起こってくるので、”これ”と決めることができません。どんな運動でも、高齢者にとっては必要な運動になります。
言い換えると、どんな運動でもその人が行える運動は有意性があると言うことです。
ここで大事なことは、以下の2つです。
▲ 方法
▲ 順序
方法
できるだけシンプルな動作を選びます。また関節動作の複合が少ない動きが望ましいです。また、壁など身体を支えることができるツールの活用は必須です。
ここで注意したいのが、「椅子」の活用です。
「椅子」に座ることで、参加者は安心感を覚える方も多いですが、座るという行為は、骨盤の後傾を誘いやすく”正しい姿勢”を保つことに注意が必要になります。
注意さえできれば、「椅子」もお役立ちツールですね。
ここで、1つ具体例を挙げて、エクササイズの選択を考えましょう。
例えば、膝に問題のある人に大腿四頭筋の強化運動をするとします。
あなたはどんな運動方法を選びますか?
スクワットは、膝を曲げ伸ばしする運動になるので、膝の位置・角度などかなり気をつけて行わないと、逆に膝に負担をかけることになります。
また体幹の屈曲も起きるので、腰への注意もしなければなりませんよね。
膝の悪い人には、できるだけ膝の曲げ伸ばしが伴わない方法で大腿部の強化を図ることが望ましいです。
このように、相手(参加者)のリスクは何か?を見極めた上で、エクササイズの選択をすることが重要です。
順序
ここで言う順序とは、どこから始めるか?ということです。
前述したように、全ての部位のエクササイズに有意性があると書きました。どこをトレーニングしても、高齢者には良い運動になるということです。
高齢者のレジスタンス運動では、ある一つの問題に対してトレーニングを行ったとしても、それだけでは終わらないです。
ここで考えて欲しいことがあります。
あなたの参加者は、どのエクササイズならできるのでしょうか?
私の言う順序とは、できることから始めるということです。高齢者はちょっとしたことで”老い”を感じ、自信を無くしてしまいます。
先ずは、”できること”から始めて、自信を持ってもらうことがその後のトレーニングに役立ちます。運動は「継続してこその効果」ですから、参加者に”頑張ろう!”という気持ちを湧かせることが肝要です。
しかし、できることばかりでは”偏り”が起きます。出来るという自信が出てきたら、少し努力の必要なことを指導します。
運動の最後には、前回よりも出来るようになったことを伝えて自信を失わないようにします。
私は90歳を超えた方には、「来るだけでも運動、ここにいるだけでも身体にいいことがありますよ」と声をかけています。
健康寿命を延伸するには、運動だけで無く、人との繋がり……コミュニケーションが欠かせません。時にはトレーニングに関係の無いこともお話ししながら、そこにいること自体が楽しいと感じてもらえるように、私は配慮しています。
高齢者に向けた具体的エクササイズの方法は、またの機会に……
来月7月9日に、日本フィットネス協会主催のオンラインワークショップでこのような内容のことを行うつもりです。
詳細が決まり次第、またお知らせ致します。