運動指導者のあなたと一緒に歩みたい、池田扶実子です。
今日は「メルマガ」でもお伝えしていました、静的ストレッチング指導時に気をつける点を、改めて確認していこうと思います。あくまでも、ストレッチング(=身体を伸ばす)クラスでの留意点です。ウォーミングアップなどのストレッチングは、基本的には「ダイナミックストレッチ」が望ましいです。
指導上の留意点
特に、忘れがちな注意点、重要な注意点から挙げていきます。
①関節をロックしない(力を入れない)で行う
関節に過度なストレスを与えないこと。特に、関節過柔軟性がある人には注意が必要です。
②伸ばしている筋肉を意識させて行う。
意識性の原則……意識を集中させることで、より多くの電気を流し、感覚器官を刺激し、速やかに筋肉が伸張するように努めましょう。
③ストレッチング時には、身体が十分に温まっている。
特に冬場は気をつけていると思いますが、高齢者の場合は、筋肉は薄く、関節可動域も狭いです。充分に身体を温めて、筋肉に損傷を与えないように行いましょう。
④頭を心臓よりも低くしない
特に、眼底出血の経験者や眼底動脈の硬化がみられる人では、再出血の可能性があります。また、中高年齢層で運動経験のない人や脂質異常症・高血圧の人に指導するときには、注意が必要です。たまに、頭を下げて顔が真っ赤になる方がいます。このような場合は、要注意です。
⑤安定した肢位、適切な姿勢を考慮する
特に「立位」で行う場合の「基底面」を考慮する。広く取り、安定した姿勢で行えるようにしましょう。例えば、「下腿三頭筋のストレッチ」の場合、一直線上に両足がある場合と、両足の間に少し幅がある(15cm前後)場合とでは、どちらが安定感があるか?ということです。
⑥人と比べないように指導する
関節可動域は個人差があり、また部位差もあります。出来た・出来ないという指標よりも、目的とする筋肉(部位)に心地よい伸張感があるかどうかが重要ですね。高齢の方は、自分が出来ているか?否か?にこだわる方が多いです。言葉でのフォローや見せ方の工夫が必要ですね。
⑦⑦痛みを感じない程度で、可能な関節可動域に到達するまで行う。
最大限に伸張した状態で行うことが、適切なストレッチです。簡単に言うと、イタ気持ちいい感じで行うということです。伸張する時間も、運動初心者の場合は10秒くらいから始め、慣れてきたら30秒程度まで保持すると良いでしょう。
⑧反動をつけないように、ゆっくりと行う
「伸張反射」を起こさないように行うことが大切ですね。また、ゆっくりと行うことで、どこが限界点なのかを知る(感じる)ことが出来ます。
⑨心身共にリラックスした状態で行う
特に、初心者の方や身体が硬いことをコンプレックスに感じている方は、「出来るかな?痛いのかな?」と不安です。緊張を解き、リラックスした環境作りも重要です。
⑩息を止めずに、自然な呼吸を心がける
無理な姿勢や過度なストレッチでは、息こらえが起こりやすいです。呼吸が止まることで、血圧の上昇し心臓循環系の事故につながるかの性があります。⑧でも書きましたが、ゆっくりと行う呼吸は、副交感神経を刺激し、リラックスした状態を作ることが出来ます。
身体への感覚を研ぎ澄ます
ストレッチングは立位・座位・側臥位・腹臥位・仰臥位などで行うことの出来る軽強度の運動です。個々人が自分に合った方法や可動域を選択できる運動でもありますね。
ゆっくりとした動きの中で、伸張させているときの自身の身体と対話する(感じる)ことは、身体にとって危険信号である「痛みや違和感」に耳を傾け、筋肉・腱の伸張による”心地よさ”を感じることが可能になります。
自分の身体の声を聞くことで、普段の生活での所作への注意が容易にもなるのではないでしょうか?
最後に……
高齢者にとって”ストレッチング”は欠かせない運動だと、私は考えています。身体との対話……整形外科的な疾患を持つ高齢者が多いです。どんな姿勢(所作)で痛みが出るのかを知ることで、その姿勢(所作)を避けることが出来るようになります。
運動機会の少ない高齢者にとって、ストレッチングは参加しやすいエクササイズです。筋肉を伸ばすだけが目的ではありません。
「自身の身体を知る」良い機会にもなります。ストレッチング後の血液循環は増大します。循環の促進は、エネルギー基質の運搬、疲労物質の除去などを速やかに行い、代謝促進にもつながります。
ストレッチング……様々な観点から考えると、指導の目的も変化します。目的の変化は、参加者への動機付けにもなります。
明日からのストレッチング指導……変えてみませんか?
次回は、「ストレッチングの効果」としての、血液循環と身体のこりについて記事にします。
無料セミナーの開催もまもなくです。また、ここかもしくはメルマガにてお知らせ致します。お楽しみに(^^)/