運動指導者のこれからを共に歩みたい、池田扶実子です。
今回は、高齢者のウォームアップの重要性にについて、書いてみようと思います。
ウォームアップの目的
- ①運動中の事故や障害の予防
安静状態から、急にからだを動かすと諸機能に無理や負担がかかり、障害(急性の外傷・慢性的な外傷)や内科的事故(循環器の発作)につながりかねません。
②主運動のパフォーマンスの向上
筋温を上げることで、発揮できる筋力の増加や筋・腱の粘性の低下……柔軟性の増加を促します。つまり身体を動かしやすくなるということです。動きやすいと出来ることが多くなりますよね。
③心身の準備
心理的準備ができ、「やるぞ!」「がんばろう」という前向きな気持ちと、集中力が高まります。特に高齢者の場合は、この気持ちの部分が運動に大きく関与します。
- ④体調の把握
その時の自分の健康状態やからだの調子を知ることが出来ます。高齢者の場合は、無理して動こうとする方もいます。それは、「動かないといけない」「動かないと動けなくなる」という強迫観念です。ウォームアップ中に顔色や動き方で「おかしいな?」と感じる方がいれば、躊躇せずに声がけを行い、本人も自覚があれば中止していただくことが大切です。
ですが……なかなか「中止しましょう」とは言いにくいものです。普段から、ウォームアップで何か異変を感じたら、運動は中止した方が良いという理由や根拠を示しておくと、言いやすくなりますし、お客様の納得も得られるでしょう。
以上の4つが挙げられます。
いくら良い運動でも、ウォームアップが十分でないとその効果は半減します。目的全てが重要で、クリアしたい条件です。
特にこの時期は、寒くて普段よりからだを動かしていない方が多いです。ですから、ウォームアップでしっかりと筋温を上げ、関節可動域を広げることが重要です。
部分的には「肩」「股関節」「足」です。寒いとどうしても首をすくめる動作が多くなりますよね。その繰り返される動作によって、首回りや肩、胸の外側が緊張を起こしている方が多いです。
冬場は、家でじっとしていることが多いです。からだを動かす機会が減ります。また家で立っている方は少なく、座っています。どうしても股関節を伸展位、過伸展位に動かす機会がありません。また座ることで骨盤は後傾し背中も丸くなります。
足下も厚い靴下をはいていても、床暖房などがなければ足は冷えます。足下は心臓から一番遠くなり、毛細血管の数も少なく冷えやすいです。足が冷えると下肢……特にふくらはぎが冷えて緊張を起こしている方が多いです。
膝関節変形症の方で「膝が痛い」と言う方に共通するのが、足の冷えです。冷えることで、筋肉は緊張度を増していきます。
外から暖めるのではなく、うちから熱を発することが重要です。エネルギーを使ってからだを暖めると言うことは、血液循環、神経の協応性にも関与します。
寒い時期は家を出たがらず、ついつい運動をお休みする方が多いですよね。つまり、身体活動量が落ちる時期です。ですから、どの季節よりも、からだが緊張している時期になります。
また、体温が上がることで「神経の伝達速度」が早まります。じっと動かない生活を続けていて、「ぼ~っとしている」「うっかり」が多くなる方も多いです。動くことで「反応時間」も変化します。
動くスピードの遅延は、動かないことから始まることを高齢者の方々に伝えましょう。私の知る限りでは、動かないでいると、スムースに身体が動かないことを実感している高齢者は多いです。ですから、その根拠を説明してあげると納得される方が多いです。
体温上昇は、血液の温度上昇と血流量の増加により、活動筋での酸素摂取効率を高め、持久力を向上させる効果もあります。
この時期の高齢者のウォームアップは、丁寧に時間をかけて関節をよく動かし、からだをしっかり暖めてください。それはヨガ(ヨーガ)であってもストレッチであっても同じことです。からだを動きやすい状態に持って行くことが、ウォームアップの目的です。
あとがき
私は自身のレッスンでは一番に「ウォームアップ」に気を遣います。それは本文でも書いた理由もあります。それ以外に、今日も気持ちよく動いてほしいという気持ちと、気持ちよく帰ってほしいという気持ちです。
あなたも同じ気持ちですよね。この仕事をされている方は本当に「思いやり」の思いが強い方が多いです。私たちの仕事の醍醐味……人を笑顔にすることだと思うのです。
今年も一人でも多くの方の笑顔に出会えるように、一緒に頑張りましょう。もう1月も終わりに近づき、気持ちを新たにしたいと思いました。
バタバタしていて、今月の無料セミナーの準備が遅れています。ということで、次回の無料セミナーのお知らせです。今回は「ウォームアップにも使える関節運動」を実演で行います。
日時:2月2日(金)21:00~22:00
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では……明日も明後日も元気で笑顔で……頑張りましょう!