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高齢者指導

立つか座るか?……体重を支える骨

運動指導者のこれからを応援する、池田扶実子です。

今日は高齢者に多い「骨粗鬆症」に注目し、改善や予防を期待する上で、立位・座位での運動について考えてみようと思います。

骨粗鬆症とは、過剰にカルシウムやリンが脱出し、骨折しやすく、また骨折すると治療しにくい疾患です。なので、改善よりも予防が大切と言うことになります。

しかし、若いときから運動を続けている方は少なく、何かしらの健康に対する不安などを感じた中高齢者が運動施設に通うというのが、現状です。

特に高齢者の運動指導においては、骨粗鬆症の予防を頭に入れて、指導を考える必要がありますよね。

ではどのようなメカニズムで骨が強化されるのか?を解説します。

  1. 筋収縮に伴う骨に対する牽引力
  2. 重力により骨に加わる圧迫力

①の牽引力とは……骨は腱を通して筋肉と繋がっています。その筋肉が収縮すると、筋肉に大きな刺激(電気)が加えられます。それにより骨が強化されます。

②の圧迫力とは……骨はその長軸に対して物理的な刺激が加わると、微量の電流が骨に伝わり強化されます。

①は筋トレにより行われ、②は歩く、走る、飛ぶなどの運動により行われます。

どちらも骨を強化する上で効果があると示されています。骨粗鬆症の予防としては、筋収縮(牽引力)よりも重力に対して体重を支えること(圧迫力)の方がより効果的であると指摘されています。

ということは……立って動くことの方が骨への刺激は強く、効果があると言うことになります。

では、高齢者に立って運動をさせましょう!という単純な話ではありません。私も公共施設で高齢者対象に体操教室を行っていました。大阪市の広報にも出るので、沢山の高齢者の方が参加しました。

当初は、立位の運動を考えていましたが、普段運動をしない高齢者の方々には、10分間立って動くことが困難な方が多くいます。

膝が痛い、腰が痛いという、整形外科的な問題を抱えている人は別にして考えたとしても、普段から立つことが少なく、何時間も座ったままでいると言う方が多く、最初から立って30分の運動を……なんて夢のまた夢でした。

結果として、立って出来ない方は座って行い、立って行える人は立位で動くと言うスタイルで始めました。ですが目標は、全員が立って30分間動けるということを掲げて行っていました。

最近では、座って行える運動が多く紹介されています。どんな状態であれ、運動することは身体にいいことなので、運動したい気持ちのある方々には選択肢が増えて良いことだと思います。

ですが……座ったままにせず、動けるようになってきたら、たとえ数分でも立って動くように導くことが、骨粗鬆症の予防になると言うことを理解して欲しいのです。

当時の参加者の方々で、立つことが辛い(しんどい)という方にとってはすごくハードルが高いことです。ですが、そのまま座って運動しても、骨は効果的に改善しません。

私もそうですが、人は楽な方に流されやすい

だからこそ、私達がアプローチして立って動ける時間を増やしていくことがとても重要です。

少しずつ、立位で動く時間を増やす。

立ち、座りの動作が行いやすくなる=運動を継続しようという意欲にも繋がりますよね。

身体を支える「骨」が弱い=骨折しやすい→寝たきりになりやすい→認知症になりやすい。

骨折→寝たきり→パンパース(京都大学・森谷先生の言葉より)

身体を支える骨が健康であれば、生活の質(QOL)が保たれます。思うように動けることは、何よりも大切なことだと私は考えています。

立位で動けることこそが、日常生活を快適に過ごせることではないでしょうか?

あとがき

カルシウムの摂取について……今日は本文では書きませんでしたが、摂取していれば予防になると考えている方が多いです。

もちろんカルシウムの摂取は大切ですが、摂取したカルシウムを骨に吸着させないと骨は強くなりません。

そのためには、骨への刺激が必要です。つまり身体を動かす=運動が必要だと言うことです。

間もなく12月ですね。一年が光陰矢のごとし……今年の一年は私にとってとても辛い一年でした。やっと泣かずに父のことも話せるようになりました。

今年のやり残しがないように、一緒にがんばりましょうね(^^)/

ABOUT ME
池田 扶実子
運動指導者でありながら、身体を動かすことよりも考えることが好き。やりたいことを形にすることが大好き。 運動指導者として35年以上・教育者として30年、ここまでがむしゃらにやってきました。 仕事を終えるその日まで、指導者の働き方改革と人々の健康を発信し、応援し続けます。