運動指導者のこれからを応援する、池田扶実子です。
今日は、高齢者のレジスタンスやストレッチングにおける「ポジション」について、一緒に考えていきましょう。
高齢者の体は様々な面で注意が必要なことは、あなたも十分に承知されていると思います。身体がゆがんでいない……つまり骨格の配列や筋肉のバランスが良い人は”皆無”に近いです。
背骨のゆがみや、関節可動域の狭小など注意しなければならないポイントが多いはずです。
ですから、教材などに載っているポジションでは無理がある場合が多いですよね。
例えば、マットの上で仰臥位(仰向け寝)した場合に、両腕を頭の方に上げ、伸びを行うと……腰椎前湾が起こり、背中が丸くなっている方には、腰が痛くなることもあります。
一見すると、気持ちよい動作のように感じますが……骨格の配列や関節可動域が狭小した人にとっては、厳しい動作と言えるかも知れません。
このように、参加者の身体の状況により、ポジションを考える必要があります。
例えば足を開いて立つ場合、若い人は十分な可動域があり、足を肩幅に開くことは難しいことではありません。
しかし、高齢者の方々には腰幅の方が行いやすいということが多く見られます。普段から足幅を広くとることを行わないので、「やりにくい」「股関節がしんどい」「膝が痛い」など違和感を覚える方は少なくないはずです。
グループEXの参加者は年齢の幅があります。特に、初心者向けクラスや、初級クラスは年齢の幅が大きいです。そのような状況では、1つの方法でも、難易度においては2Way、3Wayで対応する必要がありますよね。
またその方法は、全ての参加者が関節可動域や、レバーの長さを変化させるだけで行える方法を選ぶ必要があります。
「ゆっくり行いましょう」「出来るところまででいいですよ」と声をかけても、高齢者の方々にとって「出来ない」ことは、恥ずかしいことという感情があります。
私がよく見かける指導では、基本的な方法(一般成人なら出来るレベル)を示し、次に易しく行える方法(軽減)を伝えています。
この順序では、一番に示されたポジションと方法を行おうとします。
なぜなら、そこに私達の言葉があるからです。
「出来ない方は、●●してください」「辛い方は●●のように行いましょう」など、ネガティブな言葉があるからです。
参加者の心の中で「同じ年のあの人が行えているのだから、自分もやらなきゃ!」「痛いけど、出来ないのは嫌(恥ずかしい)から、我慢しよう」……そんな気持ちの方も少なくないはずです。
なので、2Way、3Wayでポジションやレバーの長さを示すときは、最初に一番行いやすい(優しい)方法を示し、つぎに難易度や強度を上げていく方法を示します。
この場合は、一つ目が行いやすいので、全員が優しい方法から始めることができ、その後に続く言葉はポジティブです。「もう少し延ばしたい方は●●を▲▲しましょう」「まだ力がある方は●●しましょう」など、否定的な言葉になりません。
行い方の順序やかける言葉で、相手の行動や意識が変化します。高齢者のプライドを傷つけることなく、行うことが出来ます。
ちょっとした言葉で傷つくのが「高齢者」です。
例えば、あなたが友人から「それ出来ないんだったら、これをやれば?」と言われるのと、「それが出来るなら、十分だよ。もっとやりたいなら、これをやれば?」
あなたはどちらの言葉がよいでしょうか?
高齢者のレジスタンス、ストレッチングにおけるポジションについては、また次回以降に部位別に詳しく書きますね。
あとがき
今日は、いきいき・のびのび協会の尾陰さん・梅本さんと三人で夕食会でした。
後日に、その時の話を書こうと思っています。
間もなく師走……一年が素早く過ぎていきます。年末は何かとやること多く、忙しいですね。体調管理に怠りなく、がんばりましょう(^^)/