運動指導者のこれからを一緒に歩みたい、池田扶実子です。
私が遭遇した出来事で、とても悲しく、そして自分に求められることを考えさせられた出来事がありました。その話を書いてみようと思います。
私はあるとき、指導中の高齢者の方から「死にたい」と言われました。
「えっ!」……
あなたも思ったのではないでしょうか?
冗談で、「早くあの世に行きたいわ~」という方は、多いですよね。それは、”長生きしたい”の裏返しで、本気でない方が多いですよね。
しかし、その方は違いました。伴侶を亡くされ、独居。子供さんのお一人は電車で40分程度の所におられるそうです。身体も弱ってきて、何をするにも「疲れる……」と感じる。何よりも一人で家に居ると、「不安」が襲ってくる。
子供さんを呼ぶのも、迷惑がかかるから……と、仰いました。その後に、本気で死のうと思ったと……。
今はそんなことは考えていないと、言われていましたが……。
私自身、その方の行動を思い起こすと、連絡用に知らせたLINEで、「今日は○○なことがあって大変だ~!」「○○があって勇気が出た~」などのメッセージが不定期で来ていました。
「本気で考えられたことがあるんだ」と確信しました。
私はその方に「生きている今を楽しむことだけを考えて下さい。うちの父は生きたくても、それは叶いませんでした。私の父の分まで長生きして下さい。」と……答えるのが精一杯でした。
その方が言ったことの中にこんな言葉がありました。「クラブにいるときは、忘れて元気になるんだけれど……行けない日は憂鬱になる」と……。
私は以前から、朝昼の運動施設は「高齢者のコミュニティ」であるべきだと考えていました。まさに今のクラブはそういう側面を持っています。
私達の仕事には、そのコミュニティの輪を広げること、つなげることも仕事ではないかと、私は思っています。
あなたはどう思いますか?是非、意見を聞かせて下さい!
以前の講習会などで公開した、「高齢者のイライラすること上位10項目」と「高齢者本人の生きがい上位10項目」を書いておきます。
引用:宗像恒次、川野雅資:高齢者のメンタルヘルス、金剛出版、1994より
イライラすること上位10項目
- 昔で来たことが出来ないこと
- 自分の健康(体力の衰え・目や耳の衰えを含む)
- 孤独なこと
- 若い者の考え方や態度が理解出来ないこと
- どうしてもやり遂げられないことがあり、それが出来ないこと
- 出費がかさむこと
- 家族の健康
- 毎日の家事(炊事・洗濯・掃除など)
- 年寄り扱いされること
- 死について
高齢者本人の生きがい上位10項目
- 仲の良い友人とおしゃべり、お茶すること
- 子供や孫の成長
- テレビ、カラオケ、ごろ寝
- 家族とのおしゃべりや孫の世話
- 旅行
- 散歩
- 読書、学習、研究など
- 観劇、映画、音楽鑑賞、買い物など
- 盆栽、庭の手入れ、野菜栽培
- 炊事・洗濯・掃除などの家事
いかがでしょうか?
元気な高齢者……気持ちも身体も元気な方々を指導するには、知識とスキルと笑顔があれば大丈夫です。でも元気に見えて、「不安」を抱えている方も多いのではないでしょうか?
かといって、私達の仕事は指導以上に踏み込むことは”難しい”です。私は、できるだけ大きな声で、元気に大きな笑顔で「こんにちは!」「お疲れ様でした」と声がけし、運動することで少しでも動くことが「楽になった」と、結果が出るように努めています。
レッスンやパーソナル後に「あ~、すっきりした!」「運動した、出来た!」という感想だけでも、その方にとっては「嬉しい出来事」なのではないでしょうか?
その「嬉しいこと」を私達が一緒に増やしていきましょう!イキイキとしたお客様の笑顔を増やすことも、私達の仕事ですよね(^_^)
あとがき
今日の話は、少し重たいと感じた方も多いのでは?
でも、あなたも目を背けずに、日々がんばっていますよね。頭に入れておきたいことだと思ったので、今回の記事にしました。
あなたの意見も是非、聞かせて下さい。ご意見は下のボタンをクリック、お願い致します。
明日も、明後日も「笑顔と元気のお裾分け」……がんばりましょうね(^^)/